簡介
【使用例】
「もう、最低よ!」 、パンナコッタちゃんは怒っていました。
いつも意地悪をしてくるカタラーナ君に、今日もお掃除当番 を押し付けられてしまったのです。
「『パンナは泣き虫だから、ぞうきんを濡らす必要がない』なんて言うの。ウミガメだってそんなに 泣かないわよ!」
「パンナコッタちゃん。『短気は損気の元なり』ですよ」
大好きなお婆さんが慰めます。
「だって、カタラーナ君、ひどいのよ。わたしの泣き顔を見て、『猿のお尻みたいだ』って言った の」
「それはね、カタラーナ君も泣き虫だから、強がりを言っているのさ」
「違うわ、だってカタラーナ君、タイ○ニックを観ても泣かなかったって」
「でも、一緒に観たわけじゃないのだろう?」
「そうだけど......」
お婆さんは、割烹着のポッケから、淡いピンクのスマートフォンを取り出します。
それから、老眼鏡を頼りに、ゆっくり指を滑らせます。
「パンナコッタちゃん、これをやってみなさい」
「お婆ちゃん、これは何?」
「これは『泣き虫診断』ですよ」
「あっ、お婆さんのいつものアプリね!」
「さぁ、いいから、始めなさい」
パンナコッタちゃんは言われるがままに、診断を始めます。
「『クラスメイトが消しカスを投げてきます......泣きますか?』、
そんなことじゃ泣かないわ!だってカタラーナ君ったら、消しゴムごと投げてくるのよ」
パンナコッタちゃんは正直に回答を進めてゆきます。
「お婆ちゃん、結果が出たわ」
「ほうほう。何パーセントだったんだい?」
「......65%」 お婆さんはパンナコッタちゃんの頭をそっと撫でます。
「パンナコッタちゃん。あなたはあなたが思うより強い子なんですよ」
「カタラーナ君がやったら、もっと泣き虫かな......?」
「どうだろうねぇ。今度連れてきて、やってもらったらどうだい?」
「嫌よ、だってカタラーナ君ったら......」
日も暮れ始め、外は薄ピンク色に染まっています。
それから、お婆さんはおやつのプリンを取りにゆっくりと立ち上がりました。
(終)